デジタル概論 ソフトウェア編2 Linuxの種類 0から楽しむパソコン講座

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第3のOSLinuxの種類について 【0から楽しむパソコン講座】

情報の安全管理の章【0から楽しむパソコン講座】
 WindowsとMac OSについては前章で紹介しました。
しかし、私たちがもっと身近に使用しているOSがあります。それがLinuxです。Linuxはパソコン上ではあまりなじみがありませんが、実は私たちが使用しているデジタル家電に多く使われています。ここでは
Linuxについて紹介していきたいと思います。

Linuxの概要

Linuxは実は一番身近なOSです。

Linuxの概要の章イメージ 【0から楽しむパソコン講座】

 通常私たちが良く目にするOSといえばWindowsやMacOSなどがありますが、そのほかに多く使われているOSがあります。それがLinuxです。
Linuxは特にサーバー、メインフレーム、スーパーコンピュータ用のOSとしてWindowsよりも多く使われており、その他にも携帯電話・テレビなどの組み込みシステムなどいろいろな種類のハードウェアに使用されています。

Linuxの祖先はUNIXですが、1991年にフィンランド・ヘルシンキ大学のリーナス・トーバルズがIntel 80386 CPUの32ビットPC/AT互換機用に「Linuxカーネル」を作成したことから始まりました。
Linuxとは狭域ではカーネル部分を言いますが、このカーネルを使用したオペレーティングシステムのパッケージ全体を現在では「Linux」と言います。

Linuxはオープンソースのソフトウェアのため、さまざまな種類があります。この種類を「ディストリビューション」と言いますが、その種類は現在でも新しいディストリビューションが作成されています。
LinuxのOSに含まれるソフトウェアパッケージの多くはフリーソフトウェアライセンスを採用しており、商用利用も可となっています。
また、システムツールやコンパイラ・各アプリケーションなど、ウェブ上に豊富なアプリケーションパッケージを提供しているため、使用用途によって必要なパッケージをダウンロードして用途に合ったシステムを構築することが出来ます。しかし、最近では、サポートなどの対象となるLinuxが増え、Linuxの特徴として挙げられていた「無償」や「ベンダー非依存」は当てはまらなくなってきています。

Linuxのディストリビューションはさまざまなものがあります。その中でも代表的なのを紹介していきたいと思います。
ただしLinuxの場合、WindowsやMacとは違いボランティア団体や個人で作成されたものが多く、サポートや開発打ち切りとなる場合もあります。最新のバージョン等は各ホームページで確認してください。また記載されている機能などについても変化しております。ここで記載されている機能等はこのホームページの作成時のものです。

Debian系

Debianから派生したLinuxです。

Debian系の章イメージ【0から楽しむパソコン講座】

 Debianから派生したLinuxで、パッケージ管理システムにdeb形式が用いられています。別名DEB系とも呼ばれています。巨大なDebianパッケージ群を強力なパッケージ管理を行い、ソフトウェア同士の依存関係も詳しく管理しているのが特徴です。
Debian GNU/Linux(以下,Debian)は主に個人が集ったボランティアにより開発・提供されているLinuxディストリビューションです。Debian系には次の種類があります。

1.Debian GNU Linux

Debian系の大元となります。Debian系はこのDebianからいろいろ派生していきました。
オープンフリーのOSで、多くのアーキテクチャに対応しております。また、利用できるソフトウェアの数が膨大なのが特徴です。日本語環境に対応しております。
Debian系のLinuxの基本から覚えたい人におすすめです。

Debian GNU Linuxデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Debian GNU Linuxデスクトップ画面

2.KNOPPIX

 ドイツ発祥のDebian系 Linuxで、CDからLinux を起動できます。
そのため、既存のOSを維持しつつ、CDからの起動でLinuxを動作させることが出来ます。ただし、LinuxをメインのOSとして動かすには不向きとなります。あくまでも、ちょっとLinuxを試したい時などに使用します。
以前までは作成したデータの保存などはできませんでしたが、現在は改善されております。
特にデータ救出用にも利用され、Winodwsなどの起動が行えない場合に大事なデータの救出や設定の変更などに役立っています。日本語対応しております。

KNOPPIXデスクトップイメージ【0から楽しむパソコン講座】
▲KNOPPIXデスクトップイメージ

3.Damn Small Linux

 KNOPPIXからの派生版です。超軽量 Linuxです。
インストール容量は日本語版で 150MByte以下となります。また、使用メモリは16MByteで動作可能となり、64 MByte あれば快適に動作します。
あまり高度なことは出来ないようですが、普段私たちが使うような状況(インターネットや書類作成等)には十分といえます。
古いパソコンを復活させたい時などに使用できます。
日本語対応しております。

Damn Small Linuxデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Damn Small Linuxデスクトップ画面

4.MEPIS

 最もインストールが簡単なDebianと言われているLinuxです。
ペンティアムCPUに最適化されており、インストーラーを使用してハードディスクにインストールします。
SimplyMEPISとMEPIS Proの2種類のディストリビューションがリリースされており、SimplyMEPISはCD1枚でKNOPPIXと同じくCD から起動させて利用することも出来ます。
MEPIS ProはCD数枚のインストールで、ハードディスクにインストールのみとなります。

MEPISデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲MEPISデスクトップ画面

5.Xandros

 カナダXandros社の製品で、デスクトップ用の有料Linuxです。
「Windowsユーザーを受け入れるという」というコンセプトから画面のGUIもWindowsに良く似ています。また、操作方法もWindowsに似ています。
Windowsアプリケーションを実行できるエミュレータやOfficeと同様のソフトも含まれています。
また、ツールを利用してWindows から設定や電子メールなどのデータを読み込むこともできます。

Xandrosデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Xandrosデスクトップ画面

6.Linspire

 Linspireは、アメリカ製のDebian派生Linuxです。専用のWebサイトからソフトウェアを選択し、インストールボタンを押すだけでソフトウェアパッケージを追加できます。そのため、コマンドラインを使わなくても良いように、GUIに特化しているのが特徴です。CD-ROMから起動して使用する製品もあります。日本ではかつてライブドアが取り扱っていました。

Linspireデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Linspireデスクトップ画面

7.Ubuntu

 Debian系からの派生のディストリビューションの代表といっても良いLinuxです。このUbuntuから派生しているLinuxも多く存在します。
2004(平成16)年に、Debian GNU/Linuxから派生して誕生しました。
インストールCDから簡単にインストールでき、インストール後に面倒な設定をしなくてもすぐに使用出来ます。また、CDからそのまま起動することも可能ですので、データも普及などにも役立てます。
また、ネットワークも設定をしなくても使え、無線LANまで対応となっています。
WindowsXPがインストールできるパソコンなら問題なくインストールできます。

Ubuntuデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Ubuntuデスクトップ画面

8.Kubuntu

 Kubuntuは、Ubuntuコミュニティにより開発された。日本語を含む多言語に対応しているDebian系の兄弟のディストリビューションです。

Kubuntuデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Kubuntuデスクトップ画面

9.EcoLinux

 Ubuntuからの派生のLinuxで、Ubuntu軽量化したディストリビューションです。
EcoLinuxは使用する時にインストールして使うという意図のもとですので、インストール時には標準的なシステムツールといくつかの小さなアプリケーション以外には、インターネットブラウザであるMozilla Firefoxのみがインストールされています。低スペックのパソコンにもインストールできます。

EcoLinuxデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲EcoLinuxデスクトップ画面

10.Linux Bean

  Ubuntu派生の軽量 Linux ディストリビューションです。
LinuxBean はWindows ユーザに親和性を持たせたLinuxとなっています。
Linuxのインストール時に必ずしなければならないコマンドでの設定もGUIによってサポートされており、初心者でも安心して設定することが出来ます。また、マルチメディアを含むアプリケーションが沢山インストールされており、Windowsと似たように使用することが出来ます。
設定方法もなるべくWindowsに近いGUIで設定することが出来ます。

LinuxBeanデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲LinuxBeanデスクトップ画面

11.Edubuntu

 EdubuntuはUbuntu派生のLinuxディストリビューションです。
学校の教室や家庭やコミュニティでの使用に向けて設計されており、教育に関連したアプリケーションを取り込んでいます。そのため最近では、教育関係の導入が多くなってきているLinuxです。
Edubuntuは、技術的な知識があまりない一般の学校の先生がコンピュータールームやオンラインの学習環境を1時間以下で構築し、その環境をうまく管理できるようにするように作られています。
また、学校には機器の「予算」の関係もありますので、予算を抑えるように旧式の機器を最大限利用できるようになっています。最近では、大阪府の学校にも導入することが発表されています。

Edubuntuデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Edubuntuデスクトップ画面

12.Lubuntu

 LubuntuはUbuntu派生のディストリビューションです、特徴は「軽量で、リソース消費量が少なく、省エネ」で、旧式のパソコンのために開発されています。通常のインストールや一般的な使用状況ではUbuntuの半分のRAMしか使用しません。

Lubuntuデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Lubuntuデスクトップ画面

13.Linux Mint

  Linux Mintは洗練され、最新で快適なLinuxデスクトップを提供することを目標とした。Ubuntuの派生のLinuxです。多くのソフトウェアを提供し、誰にでも使いやすいLinuxシステムにすることに焦点を当てています。
デスクトップ環境はWindowsに良く似たデザインを持っており、Windowsに似たスタートメニューもあります。
コンポーネントや標準デスクトップ環境によっていくつかのエディションがあります。
Linux Mintはユーザーの利便性を高めるために、mintソフトウェア群mintToolsを含んでおり、いろいろなソフトを利用できます。また、最初からマルチメディアのコーデックが入っております。

Linux Mintデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Linux Mintデスクトップ画面

Red Hat系

Red Hatから派生したLinuxです。

Linuxの概要の章イメージ 【0から楽しむパソコン講座】

 Red Hat社が開発したRed Hat Linuxの流れを組んでおり、パッケージ管理システムとしてRPMを使っています。インストールやアップグレード等が容易なのが特徴です。

1.RedHat

 IBMが開発したSystemV系のLinuxです。サーバ用途では強力で最新の各種ツールを採用しています。全世界で高いシェアを持っており、情報の入手が簡単に行えます。
以前は無料でサポートを行っていましたが、現在は有料サポートとなります。サポート期間が非常に長いのが特長で、対応力もあります。
使用用途としては個人というよりも企業向けサーバーを中心とした用途に向いています。

RedHatデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲RedHatデスクトップ画面

2.Fedora

 米レッドハット社が支援しているオープンソースディストリビューションです。
ここで使われた機能のフィードバックをRedHatへ反映している為、最新機能には少々安定性に難あります。半年毎に更新を行う高速リリースを行っています。
Fedora がフリーでの公開をして各種アプリケーションのフィードバックを商用版へ転化するというシステムはここが最初となります

Fedoraデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Fedoraデスクトップ画面

3.CentOS

  RedHatの完全互換を目指したLinuxでいわば「クローン」な存在です。そのため通常の主な使用法はRedHat同様サーバー用がほとんどとなります。更新間隔もRedHatを追うような形で行われます。
レッドハットのサポートが不要な企業向けに向いており、高機能なGUI環境も標準で提供されているため、業務用デスクトップ用途も使用できます。

堅牢なシステムを求めている人にはお勧めです。

CentOSデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲CentOSデスクトップ画面

4.Vine Linux

  Vine Linuxは、日本国産のディストリビューションです。
以前はRed Hat Linuxの派生でしたが、現在は独自に開発が進められています。Vine Linuxは日本国産のため主に日本でしか使われていません。

修正パッケージはセキュリティー上の修正のためにソフトウェアの挙動が変更されてしまう問題を起こさないために、ソフトウェアのバージョンアップではなく不具合箇所の修正のみを行うことが基本方針となっています。また、他のディストリビューションに比べセキュリティー上の問題の修正が遅い場合もあります。

Vine Linuxデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Vine Linuxデスクトップ画面

5.Mandriva Linux

 フランスの Mandrivaが開発したRed Hatの派生のLinuxです。Pentiumクラス以上のCPU用に最適化されるように設計されています。
urpmiというMandriva Linux独自のパッケージ管理ツールを使用しており、任意のパッケージのインストールや削除を行うことができます。また、自動更新が行えるようになっています。
バージョン5.1から8.0まではLinux Mandrake、8.1から9.2まではMandrake Linuxという名称です。また、10.0から10.1の間はちょっとした著作権の問題があり、一つの単語にして「Mandrakelinux」として配布しておりました。
現在ではかなりのシェアを誇っております。

Mandriva Linuxデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Mandriva Linuxデスクトップ画面

6.Scientific Linux

 Scientific Linuxは、フェルミ国立加速器研究所と欧州原子核研究機構によるRed Hatの派生のLinuxで、スーパーコンピュータ, 研究開発, 政府機関用のLinuxです。
最大の特徴は約7年間にわたってのサポートがあり、米国DOE(エネルギー省)の予算で複数の専任スタッフが業務として開発/メンテナンスをしている事です。
現在では世界各国の高エネルギー物理学実験や原子核実験のプロジェクトでも採用されおり、研究業務用としてサポートされていることが大きな特徴となります。

Scientific Linuxデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Scientific Linuxデスクトップ画面

7.Asianux

  Asianuxは、日本・中国・韓国・ベトナム・タイの各企業の共同開発によるRed Hatの派生のLinuxです。アジア発のLinuxとして各機関に採用されており、自治体や研究機関でも採用されています。日本においてはサポート体制が充実しており、安心して使うことが出来ます。
「RASISの強化」、「日本語・中国語・韓国語の使用の強化」、「操作性の強化」の3つを開発コンセプトにしており、アジア圏におけるサーバー用途での利用を想定して作られています。

Asianuxデスクトップ画面【0から楽しむパソコン講座】
▲Asianuxデスクトップ画面

組み込みLinux

組み込みLinuxはいろんな所で使用されています。

組み込みLinuxの章イメージ【0から楽しむパソコン講座】

 Linuxはカスタマイズが容易であり、開発コストが低く抑えることができるため、
多くのデジタル機器に使用されています。
みなさんが携帯電話で使用しているAndroidもそのひとつです。
Androidの場合はカーネル部分をLinuxで使用しており、画面(UL)などは各社が開発しています。そのため、同じAndroidのバージョンであっても機種によって操作方法が若干違うのはそのためです。Androidのバージョンはカーネル部分のバージョンであり、これを使用して各メーカーは開発・動作検証を行ってその携帯端末のAndroidを公開しているわけです。
携帯電話の他にも、液晶テレビやブルーレイのレコーダー機器などもLinuxを使用しており、Linuxの制御によってデータ通信や番組録画の予約・デジタルメニューの表示などを行っているわけです。

このようにLinuxは私たちが普段何気なく使っている機器に使用されています。WindowsやMacOSなどはパソコンを使用してるため身近に感じられますが、実はこれらのOSよりももっと身近に使用しているOSがLinuxということです。

上記のLinuxOSの種類はごく一部で、有志らによって日々開発が進められています。中には開発を断念した種類もあります。そのためここでは各種類の詳しい説明は行いません。内容等を明記しても日々変化し、新しい技術などが生まれたり、仕様の変更などがありますので、もし使用する場合は必ず最新の情報を基にして考慮してください。