1.大型コンピュータ(メインフレーム)
メインフレームはコンピュータの歴史の始まりでもあります。
企業の基幹システムに使われており、お店の在庫管理や顧客データ管理・銀行や市役所のシステムなど大量のデータを処理します。
この「メインフレーム」という呼び名は、実は1980年代から使われることになりました。それ以前では「パソコン」や「小型サーバー」などはなかったため、「コンピュータ」=「メインフレーム」ということでした。
この「メインフレーム」の特徴は、企業の基幹システム等に使われるため、ハードの障害による「システムダウン(全機能停止)が一番怖くなります。その対策として、電源・中央演算装置(CPU)・ネットワーク関連など、すべて「多重化」にして、障害に対する対策を行っています。
実は「メインフレーム」の明確な定義というのはありません。そのため、使用する目的等によって呼び名が変わってきます。
- 1.「メインフレーム」として呼ばれる場合
- 企業などのシステム全体を構築するとき、中心的な「コンピュータ」を呼ぶ場合が多いです。
この部分が「メインフレーム」です。と言うと、これがメインのコンピュータなんだと分かるでしょう。そんな意味で使われます。
また、各種メディア(ホームページや資料等)でも、「メインフレームの・・・」で表記すると用途・性能に限定されない「中心のコンピュータ」の意味で通るわけです。(非常にアバウトな言葉ですが…)
- 2.汎用コンピュータ、汎用機
- 汎用コンピュータは「専用の計算を行うコンピュータ」のことを言います。科学の計算・お金の計算などです。グラフィックを書いたり、動画を編集したりするコンピュータはいくら性能が良くても「汎用コンピュータ」とは呼びません。
昔は計算するコンピュータは別のコンピュータとは分けて設けられていました。これは、計算する場合処理に時間がかかるため、別の業務に支障をきたさないためです。しかし、現在はパソコン等の性能が良くなり、「汎用コンピュータ」というのはだんだん使われなくなってきました。
- 3.大型コンピュータ
- 本体の購入金額や本体の大きさ、システムを構築する規模など「量的」な場合に使われます。
ですから「性能がいまいち」でも金額が「バカ高い」場合でも「大型コンピュータ」になります。
反対に「性能はすごく良く」金額は「安い」大きさは「軽量で小さい」場合はあてはまりません。
- 4.ホストコンピュータ
- 周りの「端末」のコンピュータからアクセスし(繋げて)、中心部で処理を行うコンピュータのことを言います。
この言葉、実は「メーカー」では使用することはあまりありませんが、使用している現場などの技術者や、システムを構築する営業マンなどで幅広く使われています。
メインフレームの誕生は1950年に世界最初の商用コンピュータUNIVAC Iというコンピュータです。その後メインフレームは1980年代には日本でも普及し全盛期を向かえました。 しかし、1990年代になるとMicrosoft社が開発したOS「Windows」が登場し、それにともない手軽にネットワーク構築やシステム環境の 構築が出来たため、メインフレームの小型化「ダウンサイジングという」が進みました。Windowsの登場により「メインフレームはなくなる」ように見え られましたが、2000年以降、インターネット環境の普及とともに、各企業等でも情報を集約・処理する中心的なコンピュータが必要になり、「メインフレー ム」も再評価され今日に至っています。
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2.スーパコンピュータ
スーパーコンピュータはコンピュータ技術の最先端を結集
飛行機や船の設計、実験シミュレーション、天気予報など大量の科学技術計算を高速に行います。
「スーパーコンピュータ」の定義は時代とともに変化していますが、その当時の「最高の性能を持ったコンピュータ」を言います。
「スーパーコンピュータ」は高度な計算能力と早い処理能力が求められるため、よく「円周率の計算の処理した桁数」が使われます。
実は「スーパーコンピュータ」のハードウェア構成やOSなどのソフトウェア構成我々が使用している「パソコン」と同です。
しかし高度な計算能力を実現させるため、さまざまな技術があり、この「スーパーコンピュータ」で作られた技術は後に我々の「パソコン」などにも取り入れられています。(例えばCPUのデュアルコアなど)
日本の現在のスーパーコンピュータ「京」についてですが、まず計算がどれくらい早いかといいますと、「1京回の計算をたった1秒」で行います。一人1秒で1回計算したとすると、計算終わるまで1190億日かかります。その計算をたった1秒で行うというのです。
当然ハード面もすごく、処理の中心部であるCPUは富士通が開発したCPU「SPARC64 VIIIfx」を8万個使われています。
このスーパーコンピュータは現在医療現場のシュミレーションや気象庁の予報シュミレーションなど生活に欠かせない分析に使われています。
3.オフィスコンピュータ(オフコン)
オフィスコンピュータは企業の経営・業務を劇的に変化させた
中小企業の事務処理用に用いられ、一部サーバー的な役割も持っています。現在はパソコン等に変わってきています。
この「オフコン」という呼び名は日本の中だけの呼び名で、世界では「ミットレンジコンピュータ」と呼ばれています。
このオフコンは昔はハードもソフトも各社独自の仕様で作られていたため、各社間の互換性は全くありませんでした。
日本では1980年代から使われるようになり、主に企業での「給与計算・財務管理・販売管理」などに使われていました。
運用体系はいまの運用体系とほぼ同じで、ネットワーク環境を構築し、各端末からアクセスして入力するといった方法です。
また、スーパーやホームセンターで使用されている「POSレジ」もこのオフコンとネットワークを組み、販売管理や売価変更・販売管理などを行っており、今でも一部では使用している所もあります。
この「オフコン」は日本では急速に各企業等に使用されていきました。これは「メインフレーム」とはちがい、予算を少なくして環境を構築できるのと、日本独自の商売方法を反映させたプログラム作りができたためと言われています。また、「メインフレーム」は海外製のため「日本語が使えない」といったのも大き な原因といえるでしょう。
現在ではWindowsが主流になり、「オフコン」は少なくなりましたがまだまだ現役なところもあります。これは、Windowsが出る前に蓄積された「情報」があるため、その情報を使用するのにやはり「オフコンが必要」なところがいっぱいあります。
現在では「オフコン機能」+「Windows環境」などのマルチ的なオフコンも考えられており、「統合サーバー」として使用されている所もあります。
4.ワークステーション
ワークステーションは拡張の高いパソコン
コンピュータによる建築設計(CAD)、コンピュータグラフィックス、コンピュータネットワークのサーバなどパソコンより高い性能を持つコンピュータです。ワークステーションはデスクトップ型のパソコンと同じようにして使われます。
よくネットワーク上での端末型のパソコンも「ワークステーション」と呼ぶことがありますが、これは「メインフレーム」とネットワークを構築した時、端末 側は画面を表示させるために、グラフィックの描画の性能が必要になります。そのために「ワークステーション」と呼ばれるようになりましたが、現在ではパソ コンの性能も飛躍的にアップしましたので、パソコン=ワークステーションになってしまいました。そのため現在ではネットワークの端末側を「クライアント」 と呼ぶようになりました。
現在のワークステーションはほぼパソコンと同じですが、使用する環境への専用性をアップさせるため、内部の拡張ボードの取り付け個所がパソコンよりも多かったり、静音・小電力であったり、使用するメモリが高い信頼性のものを使用していたりと、汎用のパソコンよりも拡張部分が強化されています。
ただし、パソコンと同じようにWindowsをインストールしたり、表計算ソフトを使用したり、インターネットを見たり出来るため、使用していてのパソコンのワークステーションの違いが分かりません。
5.パーソナルコンピュータ(パソコン)
パソコンの仕様は劇的に変化しています。
個人用のコンピュータ ワープロ、表計算、データベースなどを行いますが、現在はパソコンの性能がよくなったため、ワークステーションの機能も果たしています。
「パソコン」という呼び名・日本だけの呼び名で「パーソナルコンピュータ」を日本人は勝手に略して「パソコン」と言っただけです。海外では「PC」と言います。
パソコンには次の種類があります。
- 1.タワー型
- 本体を机の横または下に置いて使用します。形状はフルタワー、ミニタワー、ミドルタワー、マイクロタワー、スーパータワー、スリムタワーなどに分けられます。タワー型は内部拡張性が高く、メンテナンスがしやすい点が特徴です。
よく耳にする「自作パソコン」はタワー型が多く、自作することにより内部の拡張でパソコン本体のスペックをアップさせることが出来ます。
- 2.デスクトップ型
- 本体を机の上に置き、画面は本体の上に置いて使用します。従来は横型の本体で上にディスプレイを置けるものをでしたが、現在は内部の拡張を高めるため、ミニタワーに近い形で、机の上に置けるものも多く出回っています。
また、省スペース・省電力を追求したスリム型、小型にするたに立方体に近い形状をしたキューブ型などもあります。初期には本体とキーボード・ディスプレイの一体型も存在しました。
- 3.ラップトップ型
- 「ノートブック型」と同じですが、日本では「ノートブック型」よりも一回り大きいものを言います。しかし世界では「ノートブック型」も「ラップトップ型」の一部に位置付けられています。中にはバッテリーがなく、電源が必要なものもあります。
- 4.ノートブック型
- A4サイズよりも小さい「ラップトップ型」を日本では「ノートブック型」といいます。
- 5.ネットブック型
- 「ノートブック型」の一部ですが、「ノートブック」よりも小型で、性能や拡張性はノートブックよりも衰え、あくまでも「持ち運び」を重視したものです。
- 6.タブレット
- 画面がタッチ画面となっており、ペンやタッチで文字入力やマウスのポインティングが行えるものです。
- 7.サーバ型
- パソコンの性能を持たせつつ、24時間365日稼動できるようにした拡張性をもった「タワー型」のパソコンです。
パソコンでよく「DOS/V機」という言葉があります。「DOS/V」というのは、1990年に日本アイ・ビー・エムが発表したパーソナルコンピュータ 用のオペレーティングシステムの通称であり、「PC/AT」という規格の互換機上で動かせました。「DOS/V」は専用のハードを必要とせず、ソフトウェアだけで日本語も表示できることから急速に普及しました。
世界的には1981年にIBMが「PC/AT」規格のPCが登場しました。その後、「PC/AT機」は世界中で大ヒットとなり、多様なソフトも出回ったため、世界の各社は「PC/AT」規格の互換が出来るように「PC/AT互換機」を作成しました。
しかし、日本では日本語表示の性能確保を行なわければならずIBMでも独自の日本語表示用のハードウェアを搭載したパーソナルコンピュータが発売されましたが、しかし、その当時は日本ではNECのPC-9800シリーズがほぼ寡占状態でした。
日本語という壁があったため、世界のパソコンの標準と日本のパソコンの標準にズレがありましたが、 1990年に入りIBM社から「DOS/V」という OSが発表され、翌年1991年MicrosoftがWindows3.0の日本語版が発売されたことによりNECをのぞく各社は世界で標準となっている 「PC/AT互換機」に移行しました。しかし、NECはこの流れに反してPC-9800シリーズを投入していきましたが、Winodwsが個人にも広まった「Windows95」が発売された時にPC-9800の投入を終了し、新たに「PC-98NX」シリーズとして「PC/AT互換機」を作りました。
一方「Macintosh」は「DOS/V」などのOSとは違い、今現在Windowsでも使われている「直感的・操作性」を重視した画面操作を普及さ せました。そのため「音楽系」や「印刷系」・「グラフィック系」など直感で行うリエイティヴ業界に特に指示されました。特に当時は「マウスを使う」ということが新しく、素人でも「コンピュータを使える」といったことが人気を爆発させたことになります。
なぜ「Macintosh」はIBMの「PC/AT」規格に乗らずに独自路線で進んだかというと、確実な理由が分かりませんがおそらくApple社は 「ハードウェアメーカー」であり、「起動OSソフト」も提供するという考えだといわれています。そのため、Apple社の場合、必ず「ソフトウェア」よりも「ハードウェア」の新製品に力を入れ、その「ハードウェア」の魅力が使用するユーザーの心を引いていると考えられています。
現在のパソコンは「PC/AT互換」対「Macintosh」の形になっています。
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6.制御用コンピュータ
制御用コンピュータは信頼と耐久の戦い
工場など生産ラインの監視や制御、発電所などの電源供給の制御や監視などに使われています。
制御用コンピュータの場合、設置場所の環境は非常に厳しいところが多く、湿気・埃・温度環境に耐えなければいけない構造になります。
制御用コンピュータは「信頼性」がとても重要になります。特に工場等においてはちょっとした「ダウンタイム」でも工場全体の作業がストップするため、全体での損失等が大きなものになります。また、発電所等の制御においては、「ダウンタイム」が発生は許されない状況です。そのため、トラブルを未然に防ぐ機能 やトラブルがあった場合の別のコンピュータへの切替方法・稼動しながらのメンテナンスの方法などさまざまな問題があります。
制御用コンピュータの場合パソコンとは違い、統一した規格はありません。使用するニーズにあわせて開発が進められています。
また、制御用コンピュータは「耐久性」も要求されるため、各部品も「長寿命・対環境性の強化」が必要になり、保守メンテナンスの度合いも低く抑えなければなりません。
「マイクロコンピュータ:通称マイコン」もこの分類に入り,制御用コンピュータの一種になります。
マイコンは身近な家電のさまざまな部分に組み込まれており、各動作を制御・監視します。また、最近では自動車の安全装置や各部品やエンジン周りの状態の監視などにも使われております。これらの「マイコン」についても、場合によっては命に関わる部分もありますので、通常のコンピュータ以上に信頼性・耐久性 が求められます。