デジタル概論 構成編 コンピュータの基本構成 0から楽しむパソコン講座

コンピュータの構成はどうなっているのか  日々情報端末は進化し、常に新しい商品が出回っています。そのため各機器の機能等が少し増えると、
全く別物の機器と思われがちですが、実は基本は一緒なのです。




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【豆知識】
人工衛星のコンピュータは「ハイテク」ではなく「ローテク」?

人工衛星に使われているコンピュータは非常に高性能のもとを使っているとみなさんは思っていませんか?
実はパソコン以下の性能のコンピュータを搭載しているのです。
これは、宇宙の放射線に耐えるためにあえて「高性能」にすると、内蔵してるプログラムが変になるため、あえて「低性能」にして簡単な命令を使い、データを処理しています。
こうやって見てみると「放射線」はやはり機器類に対してのダメージを起こしやすいのがよく分かります。
衛星のコンピュータ
▲ある衛星の「コンピュータ」部分

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1.情報機器の基本構成 

情報機器類の「五大要素」

五大要素の章イメージ【0から楽しむパソコン講座】 

 パソコン・タブレット・スマホ・ATM端末等、外見は全然違いますが、実はこれらの情報機器類の基本構成は一緒です。
これらコンピュータ含む情報機器には必ず持っている5つの要素があります。
これを「五大要素」といいます。
この「五大要素」の考えは人間の体の各器官を真似て作られ、いずれコンピュータで「人間」を作る?という思いで開発されました。
またこの「五大要素」の考え方は「ノイマン型コンピュータの基本構成」とも呼ばれ、あの「アインシュタイン」も認める「究極天才」といわれた「ジョン・フォン・ノイマン」が開発したコンピュータから受け継がれていました。 

ジョン・フォン・ノイマン【0から楽しむパソコン講座】 アインシュタイン【0から楽しむパソコン講座】
▲ジョン・フォン・ノイマン ▲アインシュタインも彼の天才を認めた

ちなみに、ちょっと話が反れますが・・・この「ジョン・フォン・ノイマン」 数々のありえない伝説がある人です。

ノイマンは宇宙人だった?。
ノイマンは小さいころ、分厚い電話帳を読み、すべての家庭の電話番号を暗記した。
6歳の時には8桁の割り算を暗算
8歳の時には高校数学でも皆がイヤだった「微分・積分」を完全マスターした。

など「オタク」を通り越した「聖人(サイヤ人)」みたいな人だったようです。
しかしその反面、むずかしい数学は得意だったけれども、単純な計算はどうも苦手だったようです。
ある意味「頭がガチガチに硬い」人で「クセ」非常にある人だったかもしれません

さて、本題に入ります。
コンピュータの五大要素は次の通りです。
1.制御装置
(人間の神経)
各装置を制御します。マザーボード等のチップセットがこれに当たります。
2.演算装置
(人間の脳の考える部分)
データを処理します。パソコンでいうCPUにあたります
3.記憶装置
(人間の脳の記憶部分)
データを保存します。メモリー・ハードディスクになります。
4.入力装置
(人間の目や耳)
データを受付します。キーボード・マウスになります。
5.出力装置
(人間の口・顔の表情など)
結果を外に出す部分です。ディスプレイ・プリンタ等です。
コンピュータの五大要素【0から楽しむパソコン講座】 五大要素と人間との対比【0から楽しむパソコン講座】
▲コンピュータの「五大装置」 ▲「五大装置」を人間と対比した場合

制御装置と演算装置は、あわせて中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)または処理装置と言います。よくタブレットやパソコンのカタログのスペック等で「CPUの性能が・・・・・」ということがありますが、実はCPUというのは制御装置と演算装置のことで、この装置を一緒にした半導体部分(IC)は正確には「CPUチップセット」と言います。

2.情報機器に欠かせない「ノイマン型コンピュータ」の歴史 

「ノイマン型コンピュータ」の開発にはちょっとしたトラブルが... ノイマン型の歴史の章イメージ【0から楽しむパソコン講座】
前章でも出ましたが、今現在の「五大要素」を持つコンピュータはすべて「ノイマン型コンピュータ」と言えます。この「ノイマン型」のコンピュータ(電子計算機)の歴史についてちょっと説明しましょう。
ちなみに、この歴史はちょっとした「ごたごた」があります。

このノイマン型の電子計算機は1940年代に「ジョン・フォン・ノイマン」 により提唱された電子計算機の基礎となります。

ノイマン型電子計算機の特徴は、プログラムを電子計算機から独立させ、そのプログラムを予め「記憶装置」に読み込ませておき、このメモリから1つづつ命令を取り出し、中央演算装置(CPU)で実行する(逐次処理)もので、現在のコンピュータの基礎となりました。

ノイマン型の電子計算機の誕生は以外と浅く、1949(昭和24)にEDSACという計算機が出来ました。
この計算機、実はノイマン氏ではなくモーリス・ウィルクスとケンブリッジ大学の数学研究所のチームが作成しました。この計算機はノイマン氏がまとめた後に出る「EDVAC」という計算機のレポートを参考にして作られたそうです。中心部分は真空管で作られています。


モーリス・ウィルクス【0から楽しむパソコン講座】 EDSAC【0から楽しむパソコン講座】
▲モーリス・ウィルクス ▲EDSAC


一方、ノイマン氏のチームも「EDVAC」という計算機を作成していました。このプロジェクトの中には「ジョン・モークリー」・「ジョン・エッカート」という人物もおりました。
実は「ジョン・モークリー」・「ジョン・エッカート」は世界初の「ENIAC」という計算機を作成している人物です。「モーグリー」氏と「エッカート」氏はENIACの計算機の作成後、ENIAC よりも速くて、コンパクトでしかも柔軟な計算が出来る計算機を作るということで「EDVAC」を開発していました。

ジョン・モークリー【0から楽しむパソコン講座】 ジョン・エッカート【0から楽しむパソコン講座】 ENIAC【0から楽しむパソコン講座】
▲ジョン・モークリー ▲ジョン・エッカート ▲世界最初のコンピュータ「ENIAC」


EDVACの開発にはノイマン氏はこのプロジェクトに最初から関わっていたわけではなく、途中から参加したわけです。このEDVACの開発に関しては膨大な費用がかかるため、「軍」から金銭的援助を受けていました。
そのため、開発過程や仕様など、すべて「軍事秘密」として扱われていたわけです。当然、開発当初にはあのEDSACを作ったモークリー氏もいました。

しかし、このノイマン氏、やってくれました。この軍事機密のEDVACの開発内容や原理などを「技術的な側面」に反発し、自分の「論理的側面」として、他の開発者や軍と相談もしないで、自分の「ノイマン」という名前を使って世界に論文を出したわけです。その論文が世界に広まったためこの方式を「ノイマン型」といわれるようになりました。が、実は、当初のプロジェクトの考え方は「ジョン・モークリー」・「ジョン・エッカート」が築いていたようです。そんないざござがあり、開発が遅れ、1952(昭和27)年にやっとEDVACが開発されました。

ENIACの開発後【0から楽しむパソコン講座】 EDIVACは軍事機密で製作されていた【0から楽しむパソコン講座】 EDIVACの原理をノイマンが公表【0から楽しむパソコン講座】
▲「ENIAC」の開発後、すぐに「EDVAC」の開発に着手した ▲その後、「ノイマン」が加わり、軍事機密で極秘に開発を進めていた。 ▲「EDIVAC」の原理をノイマンが論理的に論文を公表

EDVAC【0から楽しむパソコン講座】
▲1952年完成の「EDVAC」

 3.ノイマン型コンピュータの特徴と課題 

ノイマン型のコンピュータの長所と短所。 ノイマン型の特徴の章イメージ【0から楽しむパソコン講座】
現在主流になっているノイマン型コンピュータですが、次の特徴が挙げられます。
1.プログラム内蔵方式
プログラムを一旦「記憶装置」に読み込ませます。
2.逐次処理を行う
「記憶装置」に読み込ませたプログラムを1つずつ取り出し、中央演算装置(CPU)で処理します。
3.命令によってデータ部を認識する
ある特定の「命令」によって、「ここはデータが入っている項目ですよ」と認識させることが出来ます。
4.固定命令を使える
演算処理や各動作などを固定の「命令」を使って実行させることが出来ます。

これにより、計算機を「ハード」と「ソフト」という2つの物に分け、この「ソフト」を作ることによっていろいろ応用が出来るということです。

プログラムを作成できる人はよく分かると思いますが、今のパソコンなコンピュータなどの基本がこの「ノイマン型」となっています。しかし、今現在「標準」となっているこの「ノイマン型」でも数々の欠点があります。

ノイマン型のコンピュータには大きな問題として「フォン・ノイマン・ボトルネック」というのがあります。
これはどう言うことかといいますと、先ほどの

「プログラムを記憶装置に読み込ませ、それを1つずつ取り出し、中央演算装置で処理する」

の部分です。

実は、記憶装置からプログラムを取り出し、中央演算装置に渡す場合、「バス」と呼ばれる物あります。この「バス」と呼ばれる処理の速度により性能が変わってきます。

例えば、プログラムを「人」、記憶装置を「停留所」、「バス」はあの走っている「BUS(バス)」、中央演算装置を「イベント会場」だとしましょう。

人を停留所からイベント会場に送る際、「バス」の速度が遅ければなかなか「イベント会場」につきません。そのため「イベント会場」はガラガラになります。そのため、いくら「イベント会場」が大きくてもこの「バス」の到着が遅ければ「イベント側」は次のお客さまをただ待っている状態になります。この「イベント」を大盛況にするためには「バス」の輸送スピードがキーポイントとなります。

この「バス」の処理速度を上げるのが課題となっていますが、逆に「バス」だけのスピードだけを上げると、中央演算装置(CPU)の処理が追いつかなくなり、今度は中央演算装置の性能を上げざるをえない状況になります。

プログラムを作るとき「データの処理の隘路(ボトルネック)の交通整理交通整理みたいなものだ」ということで「フォン・ノイマン・ボトルネック」と言われるようになりました。
また、別の問題として「逐次処理」で1つずつ命令を処理するため、複雑な問題を処理させるとき、解析などに膨大な時間がかかるという弱点もあります。

これらを解決するために最近では「非ノイマン型コンピュータ」の開発が進められています。


バスのスピードとCPU1【0から楽しむパソコン講座】 バスのスピードとCPU2【0から楽しむパソコン講座】
▲バスのスピードとCPUのスピード、両方のタイミングの問題が課題となっています。


 4.非ノイマンコンピュータについて 

非ノイマン型イメージ【0から楽しむパソコン講座】 世界最初の計算機はENIACというものですが、このENIACはプログラムという概念は今とはまるで違い、真空管どうしの配線を変更するといった作業でした。
しかし、汎用性に欠けるために、「ジョン・フォン・ノイマン」が提唱した「ノイマン型コンピュータ」が1つの標準化となり、現在に至っています。

しかし、現在の情報機器は性能が飛躍的に向上し、メモリからの命令の読み書きの速度がネックとなってきたため、現在では非ノイマン型コンピュータの開発が進められています。

非ノイマン型コンピュータは文字通り「ノイマン型ではないコンピュータ」ですので、いろいろな形式のコンピュータがあり、それに対する開発費用も膨大になります。
しかも、可能性は無限にあるため、いろいろな種類があり、標準化されている「非ノイマン型コンピュータ」はないのが現状です。

今現在、考えられている「非ノイマン型コンピュータ」は。脳神経回路をモデルとしたニューロコンピュータ、量子力学の素粒子を応用した量子コンピュータ、DNAを計算素子に利用するDNAコンピュータなどがあります。

2014年にIBM社で神経細胞100万個相当をICチップに記憶させた「脳型コンピュータ」が開発されました。これは人間の「脳の識別」を応用し、ノイマン型コンピュータでは最も不得意だった「データを同時並行で処理する」といったことが出来ます。これにより、前章でも触れた「ビックデータ」の解析や、より人間の感覚に近い処理を行うといったことが出来ます。まだ、実用化にするためのいろいろな問題がありますが、いずれは実用化になるでしょう。

もし、「非ノイマン型コンピュータ」の機器類が実用化になった場合、世界は「非ノイマン型コンピュータ」に急に大きく変わることはありません。なぜなら、今までの情報処理が「ノイマン型コンピュータ」で行われており、「ノイマン型コンピュータ」の機器類は生活や仕事の奥深くまで使われているからです。
これから未来、この「ノイマン型コンピュータ」と「非ノイマン型コンピュータ」を共存させ、うまく使い分けていかなければならない時代が来ると思います。

DNAコンピュータ【0から楽しむパソコン講座】 量子コンピュータ【0から楽しむパソコン講座】
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